診断

診断の手順は、他の軟部肉腫の場合と同様です。最初に患者の既往歴の検討、綿密な診察が行われ、しこりがある場合は診断と病期分類のために画像検査が重要となります。画像検査では体の内部が画像として映し出されます。特にコンピュータ断層撮影法(CT)、ポジトロン断層撮影法(PET)は腫瘍の範囲と活動性を判定するために重要であり、診断時だけでなく、治療中にも薬物療法の奏効を評価するために実施されます。

しかし、GISTの治療法は他の軟部肉腫と大きく異なるため、その腫瘍が真にGISTであるかを確認することが肝要です。軟部腫瘍がGISTであるか否かを判定するために主に2つの基準が用いられます。一つ目は最初に腫瘍が発生した部位、二つ目は「c-KIT遺伝子」の変異です。15年ほど前にc-KIT遺伝子の変異が発見されたことにより、GISTに対する知見が大幅に改められ、消化管肉腫の分類の見直しという事態に発展しました。

Receptors GISTGISTの約80~85%でKIT遺伝子に変異がみられ、5~10%でPDGFRA遺伝子に変異が見られます。また、GISTであるという診断は正確であっても、変異を伴わないものが5~10%あります。これを野生型GISTと呼びます。GISTの診断では病理学が極めて重要な役割を果たします。病理学の最新手法、中でも組織学的、免疫組織化学的、分子遺伝学的手法は、生検に際し、速やかに適用されなければなりません。また、治療方針も、病理学的検査で同定された変異の種類に基づいて適用する必要があることがここ2年ほどの間に明らかになりました。

 

変異解析

変異解析は遺伝子型決定または「エクソン同定」とも呼ばれ、受容体タンパク質(たとえばc-KitやPDGFRA)のどの位置で変異が起きているかを突き止めるために実施されます。変異解析は、予後の判定、病態推移の評価、治療の有効性の予測、薬とその用法の選択に役立つため、重要性が増しつつあります。さらに、変異解析によって不必要な術後補助療法、過少治療、過剰治療のリスクを減らすことができます。

したがって、世界中の第一線のGIST専門医および患者団体は、GISTに対する最適な治療と管理のためには変異解析が不可欠であることを力説しています。特に、新たにGISTと診断された患者には診断時か、遅くとも診断後早急に、患者自身の変異に関する情報が提供されるべきです。